FC2ブログ

アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

白い魔法 プリントを販売する現実 

01133.jpg

今日はちょっとプリント販売のお話をしようと思います。
ボクの個展で付けているプリント価格を見て時々業界の人がボクに「安すぎるよ、もっと付けても良いんじゃない?」と云われる事が何度もあります、良かれと思って云ってくれるのはよく分かるけどそれは聞きたくはないコトバです。
もう聞く度に複雑な気持ちになります。それで売れるならこっちだってそうするでしょう、毎回会場費が出るか出ないか冷や冷やしながらやっているのです、当然もっと高くしたいけど、それでは売れないし、考えに考えた末に付けた価格なのです。
ボクらのような作家は一点10万円以上付けてもなかなか売れないと思う、そこを買ってくれるのは「気に入ったから10万円以内なら買っても良い、」と云うお客さんにボクは支えられています。
ボクのお客さんの多くは、過去に作品を何度も買ったことがあると云うより、数回しか買ったことがないけどとにかく気に入ったから買うと云う人ばかりなのです、ボクはこういう人の純粋な気持ちに支えられて続けられているのです。
中にはただの額付き写真に5万円の価格はずいぶん高いと思う人もいるようですが、作品を発表するとは、会場に支払い、プリント額装にもお金がかかり、ある程度の値段を付けてやっとギリギリ成立するのです。
現状、写真プリントは多分みなさんが思うよりずーっと売る事がむずかしいものです。たかが写真に5万円も7万円も払うと云うのはなかなか普通の感覚では出来るものではありません。
そこを買ってもらえるのですから本当にうれしいことです。職業写真家でも自分のプリントが売れる写真家はそうやたらにいるものではないと思う。そう云う意味ではものすごく幸せなことです。

今年6〜7月の2ヶ月間、東京のギャラリーで作品を展示をしましたが結果散々なものでした。鎌倉ではそこそこ売れるので東京でもある程度は期待していましたが、結果はたいへんなものでした。
この結果を見てプリントを売って行くには本当に厳しい物なんだとその現実を知り、新しい場所で売るにはかなり慎重にならないとダメだと思いました。
東京銀座あたりのちょっとしたギャラリーである程度の値段で赤がたくさん付いているなら、その作家がそれなりのネームバリューがあるか、ファンの数があるか、作品価値として裏付けがあるから売れるのか、ただ純粋に作品が良いからだけではないと思います。
そんなわけで作品をなんとか海外で売れる環境を作って行きたいと思っています、もちろん海外だってどう云う事になるか出たとこ勝負ですが、作品さえある程度の良さがあれば日本と同じにはならない気がしています。

もう一つ書いておきたい事は現実問題、純粋に作った作品を広告のADに見せてもなかなか広告の仕事に繋がるものでないと思います。彼らが現実扱っている仕事とボクの作品があまりにもかけ離れているからなのか、これで仕事にはに繋がりません。
ほとんどのカメラマンは広告は広告向けの作品を見せているようです、個人的な作品は現実に仕事がもらえない、しかしプリントも売れない、それが現状なので日本では個人的な作品が活気がないと思います。
そんな環境でなんで苦労して作品を作るのかと云えば、これは良いとか悪いとかではなくボク自身の体質です、それをしないわけには行かない体質を持ってしまったから作るのです。
ただボクの場合は鎌倉で今のところ何とか赤字にならない事と1年かけて作品に集中することが何ものにも代え難い喜びがあるからやっているのです。
多分ボクは感覚的な創作活動をやっていないと気持ちが持たないから作るのです。そしてそれを買ってくれる人もいて、大げさではなく作品が売れた時は生きていて良かったと思います。
端でちょっと見ただけでは毎年作品展をやってその充実ぶりに羨ましいと思って見る人もいるかとは思うけど、現実は結構しんどい環境の中を何とかやっているのです。