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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

ただひたすら北に向けて走るだけ 

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自転車旅行は日本で散々やって来たから慣れていた、とは云え久しぶりの長距離走行の初日はやはりキツかった、車の往来の激しい国道をひたすら北へ向けて走った、初日はケンブリッジに泊まった、ロンドンから60〜70キロくらいかな?こっちはマイルだから掲示板の距離数を1、6倍計算してキロ換算にする。
地図はガソリンスタンドでそれぞれ土地の地図が買えた、うろ覚えの記憶では、ミシェラン、シェル、BPのブリティッシュペテロル、から地図は発売されていたと思うが、行った先々のスタンドで精密な良い地図が買えた、これで結構細かいところまで書かれていたが値段は安かった。ちなみに、イギリスではガソリンをペテロルと云う。
イギリスでは郊外の交差点で信号機はない代わりに円のロータリー、先に入った車に優先権がある、後に入った車は先に入った車を止めてはならない、つまり交差点のようにまっすぐ走ることは出来ない仕組み、郊外ではほとんどこれだけど馴れないとちょっと躊躇する。
ケンブリッジからマンチェスター方面、北北西に走った、途中、広い山間地の国立公園地帯を抜けた、イギリスの郊外は想像してた以上に素晴らしい牧草風景の連続だった、牛とか羊がごろごろしている牧草地だった、羊の放牧はオーストラリアが本場と思っていたが、実はここが本場、とにかく街から一歩外に出れば牧歌的な風景の連続、また野ウサギがそこら中で車に轢かれ残骸が路上によく転がっていた。
日本は新幹線の車窓を眺めても延々と家並みの連続でしかないが、ここはそうじゃない、大きな街らしい街なんて指で数えるくらいしかない、国中どこまで行っても牧歌的な風景の連続だ、どうしてこんな牧歌的な田舎の国が世界屈指の経済大国なんだろうか?ここはどうやってお金を稼いでいるのか?しかも畑はあまりない、そんな素朴な疑問が湧いた。
答えはイギリスは植民地あってのイギリスなんだと風景を見て感じた、どこまでも延々に連続する田園風景を眺めながら、ふと感じたのは、絵に描いたように優雅な風景が続く、逆にどうして日本の農村風景はあそこまでバタ臭いのか?日本昔ばかしに出てくる里山風景をバタ臭いと僕は云っているのではない、里山ではないバタ臭い農村風景が今の日本のほとんどです、どうして日本はそうなんだろう?と自転車で走りながら真剣に考えた。
イギリスの田舎風景は集落と牧草地の風景の境界がハッキリしていた、また美観を壊す看板とか家並みがほとんどない、これは成り行きでそうなったのではない、あきらかに人の管理によって美観を壊す猥雑な物は設置してはならない、厳しい規制があると思った、もしそうならそれはすごいことで、イギリスは日本よりもずーっと文明国と感じた。
昼間は自転車でひたすらに走る、夕方ころは早めに切り上げその日のユースーホステルを探す、イギリスは屈指のユースホステル王国で泊まる場所探しにあまり苦労はなかった、早めに行けば同宿する旅人たちと色んな会話が出来た、旅の話、日本について、いろんな雑談がロンドンにいた時よりはるかに多く英語会話の時間がたっぷりあった。
やっと自分の居場所を見つけた気がした、はじめは自分の居場所がなくて少しホームシックにかかっていた、でもやっと居場所を見つけ毎日がおもしろかった、イギリスに来て良かったとやっと感じ始めた時だった。
でも考えてみればおかしな経緯でもあった、はじめはフランス語を勉強から始まってパリに行きたかった、そこからイギリスに渡り気が付いたら自転車でイギリスを旅していた、それと、外国語を学ぶということはそんなに容易いことではない、ならばまずは英語だなと思った、現実問題、フランス語はフランスに関わりがある以外、たいして使い道がない言葉で、その現実にやっと目が覚めた。
それと、もうひとつ、言葉ができないころは、会話が多少出来れば、その言葉が話せるも同然と思っていたが、それは間違いで言葉が話せるにはあまりにも幅がある、なんとか旅行で困らない程度の会話ができる、それと、テレビや巷の会話がほとんど理解できるでは、語学力のレベルが全然、違うことにイギリスで気がついた。

この旅で僕はイギリスについていろんなことを知った、当初は何も知らないでイギリスに来た、自転車で旅をするうちに日本人が思うイギリスと云う国は実は漠然としていた事実に気がついた、案外知られていないことで日本人が云うイギリスとはグレートブリテンを意味すると思う、現地ではイングランドとスコットランドとアイルランドとウェールズは国としてはっきり区分けされている。
日本には連合王国という発想がない、イングランド人とスコットランド人、アイルランド人は人種が別で歴史上いろんな事件があったらしく、ウェールズ、スコットランド、アイルランド人たちはイングリッシュ(イングランド人)に対していろんな埋めがたい反感を持っている事もだんだん分かってきた。
さらに北上してヨークシャーはより牧歌的になった、ここは嵐が丘の舞台、ここを越えてさらに北上すればスコットランドに入る、国境があると聞いたのでどんなものか想像していたが、いざ通ってみると普通の県境と変わらない素っ気ない標識が立っていただけだった。
いよいよ気温が下がってきた、一番厄介だったのは1日に何度も雨が降る、木の木陰で雨宿りをして止むのを待つ、一通り降ると雨は止んでまた走れる、このしとしと雨の多いことはイギリスの気候らしい。
スコットランドに入り、エジンバラに立ち寄ってさらに北上した、風景はどんどん何もないただの草っ原になって行く、スコットランドは本当に何もなかった、先日独立をかけて国民投票を行ったが、結局ブリテンに留まる結果になったが、仮りにスコットランドが独立してもどうやって経済を維持していくのか疑問だった。土地が痩せているのかイングランドとスコットランドはほとんど畑らしいものは見なかった。あるのはただの羊の牧草地だけだった。