FC2ブログ

アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

写真表現の基礎はカメラ知識ではなく美術力です、 

img162.jpg

昨日の続きです。
僕の写真修行は、ズラす、 これに出った以降は内面的な表現に興味はシフトしていきました。当時はまだそれを口頭で、文章で、自分の意図を説明できるレベルではなかったけど、ただ言えることは、ただきれいな風景だから撮りましたではなくて、そこに何らかの気分を乗せて撮ること、新しい目線の撮り方を挑戦し始めていました。
そのころに上京し都内のスタジオに入り先端の撮影現場に立ちあったり、助手をしたり、スタジオ撮影を学びました。さらにその後、著名写真家の助手に就きました、そこで痛感したのは、写真の撮り方、写真の仕上げ方、見せ方、表現法、のスキルには圧倒されました。特にその写真家は映像美、画力は業界トップクラスの方でした、一昔前、図書館通いしてたころにくらべたら相当ラッキーな立場にいました。
ここで痛感したのはアマチュアとプロの技量の差は想像した以上の隔たりがありました、技量がというより認識が全く違うことに気がつきました、これは一般のアマチュアカメラマンがどんなに逆立ちしても到底かなわない差だと思いました。
僕がとりわけ感心したのはモノクロ写真の考え方がこれまで僕がしてきたこととは根本的に違いがありました、多分、このスキルと考えを知らないならば、暗室を何年続けてもこのレベルのプリントは出来ないと思います、その秘密の一部を話します。
通常みんなが思っているキレイなプリントとは暗室技術があってキレイなプリントが出来ると思い込んでいます。
そこから間違っています、キレイなモノトーンのプリントを作るとは、実はキレイなプリントが出来る撮影がされて初めて可能になるのです、さらに言えばそれにふさわしいフィルム現像がされ、プリントがやっと出来るのです、撮影さえしっかりされていればプリントは大して何もしなくても普通に処理で十分良いプリントはできます。
つまり、キレイなプリントを作るとは暗室技術で処理する、この考えはもうすでに遅いんです、そこがアマチュアの方はわからないんです、要点はキレイなプリントになるように撮影をしておくことが最も重要です。

でもここであらためて言いたいのは暗室スキルについてどうかではなく撮影の根本的な考え方についてです、撮影は大きく分けて2つの考え方があります。
一つ目はあるものを手を加えないであるがまま撮ること、
二つ目は自主的に手を入れ環境設定して撮ること、
一つ目についてです、つまり大半のアマチュアカメラマンの撮り方がこれです、何かを上手く撮る、きれいな風景に出会って上手く撮る、出会ったものをきれいに撮れる、もちろんこれなりの奥の深さはあるとしても、決定的な問題点は被写体を自分の意思でライトコントロールができない、コントロールの習慣がないので、写真を自主的に自分のフィールドに持ち込んで撮る発想がなく画力、表現力には限界があります。
二つ目ですが、これはプロカメラマンが普段してることですが、基本は環境を自分で作って撮るので力次第で意のままに自由に撮れます、モノトーンも自主的に階調を意識して作るのでキレイなモノクロプリントが可能です。ただし意図して撮るのが習慣になりすぎて写真にライブ感、生々しさが足らない物もよく見かける。
理想は双方に長けていることです、スタジオ撮影、光を自主的にコントロールすることに長けた人は外で撮ったとしても その光を見抜いています、光の選びに訓練ができているので絵作りの画力が全く差が出ます。僕はスタジオ撮影経験を積んできたので外で撮る場合でもスタジオ撮影の発想は十分に応用していますから表現力が変わってきます。
このスキルを知った時に「目からウロコ」で、気がつきました、写真の基本スキルを知らないと撮る対象物、その撮り方、表現の発想はどうしても狭い範囲に限定されます、モノクロの表現法を認識していないと、それはモノクローム写真とは呼べずただの色がない白黒写真でしかないのです。ただの白黒写真とモノクロ写真では考えは全く違います。それは暗室技術の問題ではないのです、基本的な写真技術の問題、階調表現力の問題、美意識に対する力量の問題です。
さらに加えたいのは、カラーとモノクロは別という考えですが、これは明らかに間違っています、デッサンでは光の階調を捉える訓練も同時に積みます、それは色彩表現の下地基礎はモノトーンの階調センスを養っておく必要性があります。
かつてカメラ雑誌で僕が感じた「誰が撮ろうが同じ写真にしか見えなかった」これはもちろん切り口に発想がない、仮にあったとしても弱い、目を向けるべき視線に独自性が乏しい、しかしここに横たわる最大の問題は写真認識があまりにも低すぎることが原因です。
写真の根本的な基礎力は美術であってカメラではない、でも現状はその認識がなさすぎます、カメラ雑誌は相変わらず本格的な写真表現力について何も触れない、ここに問題がある気がします。
仮に雑誌がそこに触れたとしても、読者には難解すぎて売れないので触れたがらない、これが現状です。