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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

自分に才能なんて果たしてあるのか? 

ここ一連のブログの内容は僕の修行時代、自分の道を切り開いて行った思い出話を書いています、こんな調子ではいかにも順風満帆にことが運んでなんの迷いがなかったかのように取られるかも知れないけど迷いの連続でした。
この仕事は表現すること以上に迷いとの葛藤が仕事じゃないか、と思うくらいです。
少なくとも何の実績もない者がこれから出て行こうとする時、多分誰も例外なく通過しなくてはならない葛藤は、果たして自分に才能があるんだろうか?自分が果たして通用するのか、です。
これについて思います、親がクリエーター家庭に育った2世の人はすごくアドバンテージがあると思います、それを娘に言うと嫌な顔するんですが、実際にストレートに美大に入りましたし、学生から業界の著名人に触れたり直接指導を受けたり、僕らのそのころを思うと大違いです、僕らは周囲に相談できた人はなく自分一人の判断だけで上がっていくことはとても厳しいものがありましたし思い起こせば迷いの連続でした。
2世の場合、親の後姿を見て育っているから、こんな親でもやったんだから自分だって何とかやって行けるだろう、また業界の現状を何となく知っている、才能で食べていく実情も何となく知っている、判断の基準がすでにあるからおおよそのメドが付いています。
でも周囲に誰もそんな知人が一人もいない場合、どうやって道を開いて行けば良いのかさっぱり判断基準がなくて路頭に迷う事も然りです、少なくとも僕が写真家を志したのは25歳以後でした、順調ならばみんな美大を卒業して道を選んでいる時期です。出遅れた理由は「自分に写真家なんてはなれない」と思っていたからです。
それくらいハンディーな環境から写真家を志して這い上がっていくのは僕にとっては至難なことでしたし、一番の戦いは自分の能力を信じるか、信じれないか、この葛藤と迷いだったと思います。
周りが常識とする考えと、自分が思う考えのズレ、さてどっちを取って生きていくか?これは結構大きな問題で簡単には片付けられない問題でした、自分が思う考え信じる考えと、周りが当たり前とする考えのズレ、僕はこれにはかなり苦しめられました。
その当時、葛藤したのは、、、才能についてでした、果たして自分にあるのか?あったとして通用するか?才能があるやつってどんなやつなんだろうか?才能ってなんなのか?考えました。
もし自分に確かな才能があったならこんな辛い迷いなんかしないで済むのに、、、才能さえあれば何の迷いもなくレッドカーペットは用意され、自分が欲しい名声が自由に手に入る、それは魔法の杖のようなものと僕は思っていました。
確かに世の中には才能が本当にある人はいるのかもしれない、そんな人にもうすでに出会っていると思います、それで、やっと分かったのは才能とは少なくとも、世の中で思われているようなものではないことが分かってきました、これが「才能ですよ」と手で拾える具体的なものではないのは確かです、多くの方々にはそれが何なのか、ただのガラクタに扱われそうなものかもしれない、それが何なのかわからないまま通り過ごしてしまうくらい実体のないものです。
確かに、才能がある人が何かをしたら、普通の人がいくら頑張っても何年もかかるか、いくらやっても一向にできないか、それをわずかな期間で達成してしまう、そんな人は確かにいます。過去に出会ってきました。
勉強でも、そうでした、彼らが教科書に目を通すとまるでコピー機のようにそこを通過したら情報は全て取り込まれているようなやつが友人にいました。
そういうやつは、ある意味で親から、血筋なのか、家庭環境からなのかよくは知らないけど、家族揃ってだいたいそうなんです、一人だけ突然変異はあまりないです、一回目を通した情報をアタマに取り込んでしまえる特殊機能がインプットされている感じがしました。
ただ写真とか美術方面に関してこう思いました、吸収力も、表現力も、直観力も、確かにありますが、その背後に隠された意外な秘密は、つまり見ているところが普通の人とは違うんです、普通ならそこまで問題意識を持たない素通りすることが、、、、彼の目には止まったり、普通ならもう終わるところにいつまでも意識が止まらなかったり、みんなが考えないことを、いつまでも延々と考えられたり、早い話が、モチベーションが、発想が、その出所が、普通の人と全く違うんです。
その結果、人に出せない結果が出せる、人が見えない世界が見える、でも人と違う個性だから、協調性に欠けたり、強すぎる個性の行き場に困ったり、人が迷わないようなことに迷ったり、人が感じない苦痛を感じたり、人がしない挫折をしたり、才能があるからいいことばかりじゃない、かえってあるばかりに苦しむことがたくさんある。それが才能の一面です。
だから単純に才能があるからうらやましいとは思わなくなりました。