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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

何かが壊れた(3) 

前回からの続きです、やはり世の中の金銭やりくりは効率追求にどう見ても偏り過ぎている気がします、これは僕の目で見るとそう映るだけなのかも知れないけど。
村上春樹氏は『村上さんのところ」という著書の中で人間は効率主義に偏りすぎると必ず壊れます、という意味のことがはっきり書いていましたが、その壊れるとは今の世の中を指すのではないかと思います。
でもだからと言って簡単にこうすれば良いなんて誰も答えられないです、みんな先が見えない中、一生懸命模索した結果こうなったんです。
パリには日本みたいに量販店がないんです、ABCマートとかビックカメラとかファミレスとかドラッグストアー、それに値する店がありません、カメラ機材、写真材料のプロショップに行ってみても、小さな店でしかなく豊富な品揃えでもないし、果たしてこんなのが本当にパリを代表するプロショップなんだろうか?と首を傾げてしまうけどそうらしいんです。
日本ならビックカメラ、ヨドバシカメラがある、家電製品が欲しければ量販店にはいっぱい揃っています、ヨーロッパの街中にはこれがない、どうしてなんでしょう?不思議です、フランスにはカフルールという世界的スーパーがある、北欧にはイケアがある、すくなくとも街中にはこれがない、あったとしても目立たない、あるとこにはあるんでしょうか?
ヨーロッパにだってそういう流通があるんだけどパリには量販店がない、街には今風のビルすらあまりない、街は相変わらず昔のパリのままの姿を保っている、これはどう見ても残ったんじゃなくて残すように全力を上げて選んだ道なんではないかと思います。
街や郊外国道沿線に量販店がないのではなくひょっとしたら街を壊すから作らせないようにしてるんじゃないか、その意志を持って選んだことじゃないのか?もしそうなら彼らは文化に関しては相当成熟したアタマを持ってるんじゃないかと思います。

アメリカ西海岸やハワイに行くと道路沿線には大きな看板のチェーン店レストランはどこにも立ち並んでいます、またちょっと探せば、そんな店、ホームディポ、Kマート、マクドナルドetcそんな店が集まったショッピングモールがすぐ見つかります、映画館があって食べ物屋があって、洋服屋まで、おしゃれに演出されて揃っています、この流通システム日本に流れ込んで来て国道沿線に立ち並ぶわけです。

こういう産業が悪いとまでは言いませんが、昔からの産業も世の中にはあります、例えば伝統工芸を受け継いで、それを生業としている人がまだたくさんいます、はっきり言えば効率だけで見たら、儲けにもならないつまらない仕事だと思います。
世の中には学者という職業があります、企業か公が保護しないと研究は結果が出るまでにはお金になりません、歴史学者なんて国が保護しないと食べていけません、文化財保護、修理、建築、これもどこかが保護しないと生活できないから後継者が育ちません、世の中が効率優先思考ばかりになっていたら、非効率なものは世の中からみな消えてしまいます。
既存の非効率な産業はこういう新しい効率的な産業が台頭することで隅に追いやられやがては廃業せざる得ないと思います、例えばデジタルカメラが出たことでフィルムは衰退しフィルムカメラはほんとんど姿を消し現像屋も消えてしまい、倒産した印画紙メーカーはたくさんあります。
仕方がないといえば仕方がない、これが時代の流れっていうものです。お金の価値っておかしなものです、同じ10万円でもたった10万円もあるし、10万円が重いこともあります、たったの10万円で犯罪を犯す気持ちも分からないではない気もします。たった10万円程度で自殺を考える人もいても不思議じゃない気もします。
僕らカメラマンは広告の撮影を一回もらうと何十万円のお金がもらえます、これが月に何本か入れば悠々自適な暮らしができます、忙しい時は僕もそんな時期がありました、スケジュールが過密で正直言って恥ずかしいことに金銭感覚は狂っていました。
うちはアトリエ水平線を持っています、眺めが良いことからいろんな使われ方をしています、自分たちが使うよりも使われることの方が最近では多いくらいです。まさかここは稼げるからここに家を持ったんではなく、単純に自分たちの喜びとしてここに家を持ちました。
5月と10月に定期的にカフェ開放しています、眺めがいいのでお客さんはたくさん来てくれます、たくさんといっても場所柄たくさんと書くだけですが、でもコンスタントに2万円カフェで稼ぐってことは大変なことです、1日開けて待っていても1万円すら稼げないことの方が多いくらいです、ライブで場所貸しをしてもそんなものです。
ところがここをCM撮影で場所貸し、2〜3日場所貸しすると1時間2〜3万円ですから、入るお金は大きなものです、もちろんCMに場所を貸すとはカフェは比較にならないそれなりの神経を使いますしストレスもすごいです、カフェとは意味がまるで違ってきます、最後の精算はもう金額感覚が完全に狂って感覚が違います、こうやって人の金銭感覚はおかしくなるんだろうなと思いながらやっています。
同じ1万円でもその重みがまるで違います、これは先に書いたようにお金にならない仕事で収支をする人と効率的な稼ぎをする人ではその感覚がまるで違って当然です。でもこうやって世の中は効率主義に走って滅んでいくのかなと思ったりもします。