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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

力のある写真(1) 

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ワークショップを前に受講してくださった方の写真を見て感じたことをきっかけに「説得力のある写真」についてちょっと考えてみましたのでそれについて少し書いてみます。
写真が上達するには上達に必要な要素があれこれあります、こちら側も一回の講座でレクチャーではすべてをカバーすることなんて出来ません、また各自の段階にもレクチャー内容は変わってきます、僕の講座の基本はまずはその導入口として画像を美しく効果的にする光の捉え方、階調についてを第一段階として教えています。
でもこれはあくまでもたった一つの導入にすぎず、これですべて片が付くことはありません、何か一つ選ぶとしたらこれを選んだにすぎません。
階調を最初に選んだ理由は、多くの受講者さんの現状は、上達のために何を取り組めば良いのかが、読めず、選べず、座礁してる方が大半です、まず手始め導入口として階調を整えることを提案しています、その他に必要なマスターすべきはたくさんありますが、次に挙げられるのは写真を深く読める眼は不可欠です。
やはりいい写真には、そこに何があるのか、何がそれを力あるモノにさせているのか、そこを読み取れれば目指すべき目標、自分の不足点は自ずと見えてくるはずですし、そこから学べる点は多々あると思います。ただし問題は僕の経験ではいくら良い作品を見ても発見できるだけの眼力がどうしても問われますしそうカンタンなモノではありません、でもやはりその目がなければいくら見てもただ見ただけで終わります。

そこらのステップを踏むことが上達の条件とこれまで思ってきましたが、最近はそうとも言えないことを時々感じます、僕から見たらどう贔屓的に見てもとても力のある写真とは言えない、どう見てもそういう流れとはちょっと別な言うなればやや稚拙に映る作品ですが、それが想定外のところで意外にネット上で人気票を集めている現実を最近見ます。
それを見て写真に力があるというよりも、まったく発想は別物で、むしろ見せ方とかテーマ展開が上手い、どうすれば見る側の心を掴み取れるかを知っているようなそこが非常に上手い気がしました、それは写真的にどうであるのか、よりも今の時代気分とか、勢いとか、生き方、価値観とかが反映してる気がしました、そこら辺が見る人の心を強く捉えるんじゃないかと思って見ていますが、それもある意味では写真だと思います。
写真とは解釈の要素がとても広いものだと思います、写真とはこういうものだと限定できないと思いますが、でもどこかに絵としての基礎力はお世辞にも十分説得力があるとは言えず、「ひねり技」で見せるに留まっている気はしますし、その作家がこれまでの手法を捨てて従来の写真で真っ向勝負して、相変わらず人気票を集め続けられる気は僕はしませんでした、それは気まぐれなものだと思います。
さて、話を戻します、取り敢えず写真を従来の絵画芸術視点で見るならば「力のある写真」とは何をつまり指すのか、逆に「力のない写真」とは何を指すのか、そこにどんな違いがあるのか?書いてみたいと思いますが、でもそれを文で書くのは非常にむずかしいのでここで一つの説明例としてジョエルメイヤーウイッツ画像を拝借しました。
マイヤーウイッツに初めて出会った時から彼の映像に惹かれたわけではありません、CAPE LIGHTは名の知れた名作ではありましたが、実際にそれに気がついたのは自分自身で海を撮って自分でネガカラープリント自家処理をして、あらためてマイヤーウイッツの作品集を見た時にその色彩と階調の深さに気がつきました。
ここで1枚ネットから拝借して掲載しましたが、海の画像を集中して撮った経験がなければ、この写真はさっと見てもただの夕暮れ時の海風景で終わってしまうかもしれませんが、よく見ると微妙な色彩階調がよく現されています、他のカットも同じように微妙な色彩の流れや移り変わりが絶妙に描けています。音楽に例えるなら、美しいハーモニーが描けてますから、何度鑑賞してもそれに耐え得るだけの奥の深さを持っています。
一つの考えとしてまとめると、それが力のある完成度の高い説得力を持った写真です、逆に言えば力のない写真とは何度も繰り返し見せられるほどの見応えが作品にはないということです。
ワインとかビールに例えたら、味にボディーがないと同じです。僕が講座で階調をまず選ぶ理由は階調表現力はセンスというより訓練次第でわりと習得がしやすい、理解しやすい、からです。これを身につけ写真に取って必要な光がある程度読める、扱えるようになれば、写真表現力は一気に説得力を持つからです。
あくまでも僕の考えですが、写真表現をするにはこれらのスキルを一つ一つ認識し理解して画像を作って行かないと絵柄は説得力を持ち得ませんし、見た人を目を釘付けにできるほど説得力のある映像を作るのはむずかしいことだと思います。
やはり力のある作品を見て感じ、できれば自分も触発され何かを撮って見比べてやっと見えてくるものがあると思います。ちなみにジョエルマイヤーウイッツはCAPE LIGHTが有名です、オリジナルは8X10カメラでカラーネガプリント表現しています、1970年代に撮られたこの作品は当時ニューカラーと呼ばれ話題を呼びました、ネットでも手ごろな価格で入手できると思うので興味ある方は是非みてください。
次回はサラームーンを書きます。