FC2ブログ

アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

「魔法植物園」に展示するインクジェットプリントの葛藤 

_IGP7977.jpg

6月21日から久しぶりに個展を開くことになりました。
タイトルは「魔法植物園」です、もし魔法使いが植物園を作ったらこんな植物園になるのだろうというファンタジーなイメージを目標に作品を作ってきました。
最後の個展は3年前の9月だったと記憶しています、あの時は鎌倉小町通りを脇に入った十文字美信さんのギャラリーが会場でした、あれを最後にそれまで連続してアナログモノクロの作品展から、今かかっている最新作品はデジタルカラー作品に切り替えました。
デジタルに切り替えた理由はこれまでフィルムでモノクロをずーっと続けてきましたが、ここらで一回アナログモノクロからデジタルカラーに気分を変えたかったことと、そろそろ一回はデジカメで作品を撮る必然を感じたからです、普段はデジタルカメラで仕事をやっているけど、デジタルについてよく知らないわけには行かないし、一度はこれで真剣に作品を作ってもいいかなと思ったからです。
ただここで一つ書いておきたいのは、デジタルは印刷物に関しては何も支障は感じないのですが、インクジェットプリントとなると話は別です、これまでインクジェットプリントで納得したことが自分では一度もないからです。
でも今回、急遽それを展示をすることになりました、デジタルを選んだ時点でいつかはすべきこと、そこは越えるしかありません、現状、作品数50点くらいから会場のサイズで15点〜20点くらいに絞らざるを得ない状況でセレクトしていますが、50点の中から3分の1まで絞ると作品の印象は自分ですら意外なほどガラッと変わりますし、作品に対する考え方も選び方も変わってきます。
余談ですが写真に対して造詣が深いとは、写真が上手く撮れるだけの問題ではないです、写真の持つ魔力、いい意味でも、悪い意味でもそこは理解していないと奥の深い表現はできないと思います。
むしろこれを知って初めて写真が捉えられるじゃないかとさえ思います、作品の見せ方、プリント表現、額装、作品の組み方、選び方、どう展示すればふさわしい展示になるのか、これらを熟知していること、仮に熟知していなくてもそれについて思考回路を持ってることだと思います。
時々感じるのが、写真撮影はしっかりしているけど展示は何もわかっていない選び方、並べ方、組み方をする人がパラパラいます、特に広告の写真家に感じますが、これらがほんのわずかに違うだけで、同じ作品から感じる印象はまったく違う作品になります、撮った本人ですら作品に潜む力を見つけられないまま終わる場合も多々あります、ちょっとした見せ方のミスでもっと可能性のある作品をつまらない作品にしてしまうこともあります。
これは作品だけではなく広告やグラフィックデザインでも同じことが言えますが、力量のないアートディレクター、力量のあるアートディレクターが同じ作品でも扱う人が違うだけでここまで違うか、と感じるほど差が出ます。
さて、今回のギャラリーはうちの奥さんが始めたギャラリーですが、これまでのギャラリーにくらべて狭いので、そこをどう展示するかが今回の課題です、狭いから良かった、狭いからダメになった、この展示スペースをイメージしてこの作品は作っていなかったので、大幅に削るしかない作業をしています、まるで大人用の服を急に子供用にサイズ替えしてる感じです。

デジタルプリントは現状インクジェットしか選択肢はなく、モニターで見た印象をそのまま出力できないことがあまりにも多い、それが出力が今ひとつ好きになれない理由で、プリント展示を最終目的にするならデジタルは問題がありました。
その気持ちが上手く説明ができないのが歯がゆいんですが、デジタル出力はパッと見た感じはそんなに悪くないんですが、それがずらりと並ぶと、、、、どこかプリントに品がないというか、安っぽいというか、所詮は出力プリントでしかない気にいつもなります、アナログプリントにくらべてどうもしっくりこない、モノクロの印画紙の深みにくらべると、出力はどうにもその味わいが好きになれないものがあります、特に値段の手ごろな写真用紙の質感はどうにも好きになれないものがありました。
それを今後どう受け止めて対処するかが僕の課題でもありました、モニターで見る印象とインクを吹き付けて作る媒体の印象を一緒にはできないにしてもポスターだってインクですが良いものはたくさんあります、そこはどうしたものか思案していましたが、最近、プリンターを1段上級機に替え、出力用紙もバライタ紙を使うとか、環境と素材を替えてやってみたところ、前の出力にくらべて印象がずいぶん変わった気がします、でもそれは自分の気分かもしれないですし。
これはどうしてそうなのか、自分でもその根拠がよくわからないですが、とにかく額に入れて連日プリントを見ていますが、これまで感じた不満がとりあえずなさそうなのでホッとしています。
それと写真展を開く僕の考えですが、これまでの考えとして、個展はあれこれ自分なりに考えられることはすべて考えた上での最終結論を展示すべき考えでやってきました、しかし何度も展示をやって感じたのは、あれこれいくら考えを絞り出すようにしたところで必ずしもベストアンサーに至るわけでもないし、変にムキになって考えたところで正解なんか出ないと思い始めました、ならばもっと実験気分でやっても良いのではないかと最近思い始めています。
ただ適当にやるのとは違います、変に答えを絞り込んで「これが僕の結論です!」という気分よりも、もっと気分を楽にして心に余白を持ちながら展示する方が結果として良いのかな?というところです。
それにしても連日、不足分の額を作り足す作業をしたり、インクジェットで色の葛藤をしたり、前に感じていたインクジェットの印象より紙を替えるだけで安っぽかった印象はずいぶん変わるな〜と思った次第です。
一般の用紙よりは値段ははるかに高いけど額装することを思えばそんなに高い気はしないです。