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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

小学校の時のある出来事 

この話はいつか書こうと思っていたけどなぜか今日まで書けなかった、でも今日やっと書く日がきた、僕はこの出来事がきっかけで人は集団になるとこうなるんだと痛みと共に学んだ、またここには人間関係で起きる教訓みたいなものがここに隠されている気がします、多分これは僕だけではないことだと思います。

小学校の時、同じ学年にTちゃんというヤツがいた、Tちゃんは理屈じゃ説明できない不思議としか言いようのないある力を持っていた、早い話、彼はガキ大将なんだけどドラえもんに出てくるジャイアンみたいに体が大きく腕っぷしが強いとかケンカが強い、そんな感じではなかったけど、彼はクラス男子の大半は彼の支配下にしてしまう能力を持っていた。
どうしてそうなるのかは今になっても未だによく分からない、彼がそうするのか、みんながそうなっちゃうのか、彼が何か特殊なオーラを出していたのか、みんな自然とT ちゃんの意のままになってしまう、こういうのをヘビに睨まれたカエルとでも言えばいいのか、、、、、よく思い起こせばちょうどハリーポッターのマルホイみたいなキャラだった。
彼の意のままになるのはクラスの全員がそうでもなかった、クラスにはまったく関係ないヤツもいた、そういうヤツは最初からクラス連中とは積極的に関係を持ちたがらない教室の隅で見立たない立場を保っているヤツらだった、クラスでみんなと関係を持ってそこそこの存在感を示したいヤツは気がついたらだいたいTちゃんの支配下になって、そこからボタンのかけ違いのような混乱が始まっていた。
どうしてそうなっちゃうのか、冷静に考えたところで僕には答えは出なかった、ただ不思議としか言いようはなくT ちゃんが放つ力の流れには抗いたくてもどうしようもない何かがあった、これは嘘の話ようだけど本当の話です。

5年生になって、、、、クラスは新しくクラス替えで僕はついにTちゃんと同じクラスになった、これまで運よくTちゃんがいるクラスとは関係ない対岸の火事気分でTちゃんのクラスを見ていたけど、これから2年間はTちゃんと付き合う運命を背負った、考えただけでこれからの日々ゾッとした。
新しいクラスになってTちゃんを頂点にしたクラスの人間関係のピラミッド構造がすぐ出来た、Tちゃんと同じクラスになって一番辛かったのはTちゃんの気分次第で気に入らないヤツは数日間みんなからいじめられる日が続く、Tちゃんが直接いじめるのではなくみんなにそれをさせる、自分はそれをただ傍観者になるだけであまり自分から直接手は出さない、多分周りが自分の思い通りにいじめををすること自体が面白かったんだと思う、結構陰険なやり方だったと思う。
それで学校が終わるとこんどはみんなでTちゃんの家に遊びに行く、今思うとそれはそれでそれほど苦痛じゃなかった面もあった、むしろ毎日遊び仲間に入れてもらえて楽しい部分もあった、でもやっぱりこのグループに関わっていれば時々いじめに遭うのは避けられない、その時は本当に辛くて学校に行くのが地獄だった。でもそれを親とか先生に言う気はまったくなかった、ただ嵐が過ぎるのをじっと待つしかないと思っていた、特に先生なんかハナから当てにしていなかった。
そんな人間関係が1年経って6年生になった時、ある日学校に行ったらクラスの雰囲気がいつもとは違って何かがおかしい、誰かに聞いたら、Tちゃんをついに追放する革命が起きた、子供ながらにフランス革命ってこんな感じで起きたんだろうな、、、と心底ワクワクした、それでこれから平和な学校生活が始まると新しいクラスの体制に喜んだ。
それから数日間、これまでの鬱憤、報復が始まってTちゃんは毎日みんなから寄ってたかっていじめられた、正直なところ、みんなで一人をここまでやって良いのかと疑問も感じたけど、彼のこれまでやったことを思うとこれは彼にしっかり味わってもらわないワケには行かない気分の方が勝った。みんなで力を合わせればこうなるんだとクラスが一致団結した気分だったし、Tちゃんをやっつける替え歌までできたりクラスのみんなが頼もしく感じた。
そしてある日ついにTちゃんは学校に来なくなって先生はやっと事の異変に気が付き、これまでの経緯を知った、それで先生は授業を1時間潰してクラス全員にこれ以上Tちゃんをいじめるなとみんなを諭した、それを機にTちゃんへの露骨な報復は終息に向かった、早い話、報復は散々してもう気が済んだと思う。
Tちゃんはクラスには友達は一人もいない、誰とも付き合うことなく一人孤立していたけど、それで沈み込んで妙におとなしくなったわけでもなく自分は自分だとサバサバした感じだった、孤立していても彼は存在感を自然に示していた、それを見て僕は大したヤツだと密かに感じていた。
それ以来クラスは波風が吹かない退屈だけど平和な毎日が流れた、正直な話、Tちゃんの時にはこんな退屈な毎日はなかったとクラスが荒れていたころをやや懐かしんだ、しかしそれも束の間、時が経つに従って徐々になんだか怪しい空気がクラス内に再び流れ始めた。
それは徐々に徐々にその空気は変わって行った、気がつけばSくんがTちゃんに代わってみんなを仕切り始めいつの間にかみんなの上に立っていた、なんとなくこれからはSくんの時代が来そうな気がして見ていたけど、、、、、やはりそうなったかぁ〜って感じだった、僕はそれに心底失望した、あれだけみんなでこんなことはもう二度とごめんだと言い合っていたのに、、、と思った。
そもそもSくんは前からTちゃんとはあまり相性が良くない感じがして見ていた、Tちゃん追放の革命はどうやらSくんの蜂起から始まった事もあとで分かった。そして気がついたらSくんの仕切り方はどんどん露骨になって前と何も変わらない人間構造に再びなった、ただトップが変わって露骨ないじめがなくなっただけで、誰かが仕切って仕切られるヤツがいる構造は何もかわらなかった。
Sくんが歩けば誰かがその後を金魚のウンコみたいにゾロゾロついて行く、結局はこの繰り返しか、もうこんなのはうんざりだと僕は感じた、さらに思ったのはこれは仕切るヤツもハラが立つけど、仕切られるヤツにもハラが立ち始めた、やがて僕は彼らと距離を置き始めSくんをけん制し始め次第にSくんとの関係は険悪になって行った。
そしてあることがきっかけでSくんと衝突が起きた、僕の行動がSくんの感情に触ったらしく、僕は彼からいじめ宣告を受けた、Tちゃんの時のように激しい露骨ないじめではない、ただ集団から無視され口をきいてもらえなくなった、僕はそれをきっかけに、こんなヤツらとはこれ以上関わりたくないときっぱり腹を決め対決の態度を取った、そして僕に同調したヤツは2〜3人出た。
その1人にTちゃんがいた、彼はもうすっかり自分の立ち位置を確保し前にみたいにクラスを仕切ったりはないし、隅でいじめられて泣いたりはもうなく自立していた、こんなヤツらにくらべたらTちゃんはよっぽどたいしたヤツだと僕は彼を一目置くようになった。
その時に感じたのは、こういう人間関係になった時、仕切るヤツと仕切られるヤツに分かれ、仕切られるヤツはワケもなく群がって仕切られることを望む、そういうヤツが案外たくさんいることをここで知った。
ある日、教室で僕とSくんはちょっとした言い合いからそのうちに殴り合いのケンカに発展した、その殴り合いは多分僕から仕掛けたと思う、僕はとにかく彼をチャンスあれば一度みんなの前で徹底的に叩きのめしたい気持ちでいっぱいだった、それは彼に対する恨みの感情ではない、みんなの前で彼のバケの皮をはがしたい感情でいっぱいだった。
そのケンカはみんなの見てる前でやらないと意味がなかった、Tちゃんの最後みたいにSくんをみんなの前で泣き面姿をさらけ出すのが目的だった、そこから彼の集団をきれいに崩壊させたい感情でいっぱいだった。
僕の思惑通りその殴り合い以来、みんなが彼を見る目が変わって彼の存在感は一気に低下した、そこからクラスの集団構造の緊張感は自然崩壊し始め、Sくんは前みたいにクラスを仕切っていた空気はそれ以来徐々に消えた。
この時から感じていたことは、Tちゃんがトップだった時は僕はとてもこんな態度には出られなかった、Tちゃんには不思議な人を寄せ付けない圧倒的なオーラが僕には感じた、でもSくんにはそんなカリスマ性はなく圧倒的な威圧感みたいなのは僕にはまったく感じなかった、要するに僕からすればSくんは仕切るには役者不足な感じがしてそれが僕には余計に苛立たせた。
でも大人になって気がついたことだけど、Tちゃんの独裁体制を覆したのはSくんだった、彼にしてみたら次クラスを仕切るのは自分なのは当然のこと、多分彼にはそんな感情があったんだと感じたけど、それは後になって気がついた、これ以来僕は人が何かに群がるとか、ある種の価値観にカンタンに飛びつくとか、そう言うことに過剰反応するのは多分この体験がトラウマみたいに僕の心に貼りついているからだと思う。