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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

「魔法植物園」の現状 その9 

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写真はフィルムからほぼデジタルになって久しい。
デジタルを受け入れられず、いつまでもフィルムに執着したカメラマンは世にたくさんいるが、僕もその一人だった、でもデジタルに移行できなかった理由はフィルムの方が好きだからではなく、単にパソコンを扱いこなせなかっただけだ、パソコン、デジタルの概念が生理的に馴染めず、扱うのが好きになれないから簡単に移行できなかっただけの話です。
プライベートで使うならまだしも、仕事の現場で不具合がおきた時、もう完全にお手上げだった、少々の知識があれば誰だって対処できることが出来なければ現場で周りから「こいつ大丈夫かよ?」と思われるのがオチだ、実際にそんなことはたくさんあった、カメラマンじゃない人から「ここをこうすれば良いんじゃないの?」と言われて解決したことだってある。
撮影現場でソフトが開かない、接続がすぐ切れるとか、カメラに不具合がおきても、設定の知識がない、とにかく苦手意識に負けていたから使う気になれなかった、僕にとってデジタルは厄介な機材だったからずーっと避けていた、でもこの時代、もうそんなこと言ってられない、デジタルが分かってる助手さんを雇って連れて行けば良いだけの話だ、デジタルが苦手なカメラマンはみんなそうやって乗り越えて行ったと思う。

時代は変わった、今はもう選択肢はない、使いこなせなきゃ仕事は来ないだけだ、デジタル時代になって思うことはモニターで写真を見ることが多くプリントを見る機会が減った、これは良いのか、ダメなのか一長一短ある、無駄に印画紙や用紙を消費しないで写真を見られるから悦ばしいかも知れないが、やはり写真はプリントで見て判断することから離れたくない、この習慣が減少するのは写真全体として見たらあまり良いことじゃないと思う。
もう一つ、モニター画面では色がカンタンに作れるが出力で思い通りの色が自由に出せるかと言うと、出せない、みんなプリントに対する完成度、意識が低いのか、正確な色表現なんか始めから考えていないのか、、、とにかく、それを厄介な問題とする話題は昨今あまり聞かない。
そもそもインクジェットプリントはまだ発展途上で、これが出力の限界なんだとあっさり諦めているのか、モニター画面色彩と出力色彩の大きな隔たりはどうにも埋めがたいモノなのか、、、僕にはモニターで見た色が出せないのは死活問題です、この色が絶対に出したい時に出てくれない時は本当に悩む、特に緑の葉っぱの色は濁りやすく嫌な色に転ぶことがあまりにも多く、そこが出力の一番悲しいところ。
そんな時は調整し直し延々と出力し直したりを繰り返すがラチが開かないことが多々ある、最後にデーターを始めから作り直しをしたり、それでも出ない場合はもうセレクトから外すしかない、下手をしたら出力はアナログプリントより手間とコストがかかるんではないかと思うこともある。とにかく思う色が出ない事があまりにも多い。
でもこれは解釈次第だと思うこともある、これが理由でアナログが好きで出力を嫌う人は多い、確かにアナログの色の質感が好きなのは分かる、アナログではデジタルの嫌な色転びはない、でも僕がアナログカラープリントに興味を失ったきっかけはコダックがカラー印画紙生産を止めたからだった、フジのカラー印画紙は好きじゃないからそこでネガカラープリントは僕から消えた。
そもそもアナログ印画紙はそんなに美化される程、優れものとも思っていなかった、色と濃度は調整できるが、他はまったく調整できない。単純な構造だから良いのか、デジタルは色調整がいろいろあるおかげで表現幅はグンと広がった、今回の作品だってデジタルだから成立してる部分が何かと多い、フィルムなら拾えなかった作品が色の調整幅のおかげで見事にバケた作品はたくさんある、よって望む色調が出ないと文句は言えないかも知れない。
でもあくまでも言いたいのは、写真の本質はやはりあくまでもプリントあっての写真なんだから、もし写真愛好家でプリント作りに疎くなっているとしたら、それは大事な基本と大切なことが欠如している、と言いたくなる。