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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

暗い中で真っ黒な機関車をシズル感たっぷりに撮ること 

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山陰線の旅はおもしろかったけど正直なところ路線はこれといった見所には欠ける気がした。
でも名古屋にはこんなローカル線はないからまあ贅沢は言えない、これでよしとしたところだなと思った。
マニアがずらっと並ぶ路線のポイントより自分の目で探したポイントで撮ることを決めて旅に出た、そこで何らかの結果を出したいからあれこれと考えた、現実はそうは上手くはいかないからみんな手取り早い方法を選ぶ、と言うか多くはあまり何も考えていなく人と同じ場所で撮ってもさほど気にならないみたい、でも僕にはそれが信じられなかった。
浜田のユースホステルに宿を取って晩ご飯の後、カメラ三脚を持って夜の機関区をフラフラ見に行った、このころは機関区に無断で入り込んで勝手にカメラ三脚を立てて撮っても、特に職員に叱られたり追い出される雰囲気はまるでなかった、勝手に好き勝手にどこに入って撮ってもお咎めなんかなかったし「無断立入禁止」の張り紙もなかった、むしろどこから来た?と聞かれるくらいのいい時代だった、こんなことは今ならまず考えられない。
でも、あのころ勝手に入り込んでも叱られなかったけど、無茶なことをする人も当時はいなく、そこそこにマナーをみんなわきまえていた、例えば機関車の上に上がり込んで写真を撮るとか、運転席に入り込むとか、あのころは管理が野放しだったけどそれなりにみんな暗黙の常識は子供だって理解してた、そう思うと今のマナー感覚はひどすぎる気はする。
浜田機関区は機関車の数は多くはなかった、たったこれだけ?って感じがした、機関車はC56、C57、D51の数台だった、でも明治のレンガ作りの機関庫はすごく味があった、今なら保存される建物かもしれない、そこで撮った写真を後で見て感じたのは、この時、初めて写真のシズル感を体感した。もちろんシズル感って単語は知らなかったけど、写真に雰囲気を写し込むことは重要な見せ方だとこの時に知った。
シズル感というのはもともと広告の写真用語で料理写真に使われていた写真用語だそうだ、ステーキ肉を撮るとき肉から肉汁がギトギトと吹き出す感じを逃さないように美味しそうに撮らないとステーキの広告写真として失格、他にもビールを撮る時、グラスに注いで泡を溢れるくらいに撮る、もちろんグラスに水滴が滴るように撮らないと美味しそうな写真じゃない、そういう手法全般をシズルが写ってるって言います。
でもこれは何も食べ物だけではない、始まりは料理用語だったけど写真全般に言える。例えばビキニのオネーチャンを撮るならムチムチボディーをムチムチ感たっぷりに撮らないと色気が伝わってこない、やはりギラギラな雰囲気を演出するんだけどこれだってシズル感だと思う。
写真を撮るとはすべてのシュチュエーションにシズル感を写すくらいの気持ちで撮らないと写真が生き生きしない、逆に言えば、撮る写真にニュアンス、シズル感だけに集中しても構わないくらいと思ってる。
機関区で夜景の機関車を撮った時、どう撮ったら雰囲気がかっこよく写るのかその場で考えた、でも何をどうするればいいのか分からないからその場は思いつくまま撮った、現場ではマニアが他にいないから、時間をかけて考えながら自由に撮った、自分で考えて撮るのが楽しいんだと言うことをこの時に少し分かった。
暗い中で真っ黒な機関車を撮るとは?現場でどう撮ろうか考えたけどあの頃は何も上がりが読めなかった、上がった写真を見て、もう少し明る目に撮らないと黒い機関車は黒く潰れてしまう、天井から下がった電灯がこんなにも雰囲気を醸し出すんだ、、この電灯が場のシズル感を引き出すんだな、、、とこの場で新しい何かを掴んだ。
自分の写真を撮りたいと思い始めて、それまでのマニアの集まるポイントから自分で自分の場所を探す考えに切り替えた、思うように上手くいかないことの方が多いけど、時々新しい発見があったり高校生ながらワクワクしながら撮っていた。

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