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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

とりあえず絵でも掛けておこう 

先日、アメリカに仕事で行ってきました。
アメリカに限らず欧米の宿に泊まるたびに感じる事です、海外の宿は日本の宿に比べて部屋、通路、ロビー、いろんな場所に絵が掛けてあります、その頻度は日本とは比べものにならないくらい多く、逆に日本のホテルでさりげなく絵をそこらに掛けている光景はあまり見ないです。
それは絵に対する文化の違いなのかなと思ってこれまでは見ていました、しかし掛けられている絵をよく見るとあまり褒められないレベルの絵ばかり目にします、そしてどこもだいたい似たようなレベルです、まるでホテル御用達の絵画があるのかな?と思うくらいどこか共通したものを感じます。
でもそれは素人目には十分洒落たインテリアに映るんだろうけど、ちょっとマジな目で突っ込んで絵画鑑賞として見るにはなんとも言えない見るに耐えないようなつまらない作品ばかりです、まるでこの手の絵はここが落とし所を示し合わせたかのように世界観が妙に一致しています、しかし日本ではその手の絵をホテルやオフィスであまり見かけない。
日本では絵とは高貴な芸術品という考えがあるのか?安っぽい絵をホテルに掛ける習慣は欧米にくらべてない、もし掛けてあるなら、安っぽいと言うより、もっと趣味の悪い物が圧倒的に多い気がします。
日本でわりとよく見かけるのは絵より陶器素材のモザイク壁画を壁いっぱいに張り詰めたものが多く見かけますが、どこもあまり趣味が良いとは言えない作品ばかりな気がしますが、でも趣味が悪かろうが作家の気迫は伝わってきます、でも海外のその手の絵はどこか中身がスカスカ、作家の気持ちがまるで見えて来ない、そんなものが多い気がします。
前にこんな話を聞いたことがあります、それを聞いて日本にもそんなことがあったのかと思いました、風景画家が街の風景画を描く時に忘れずにしっかり目立つように街の医院の看板とかお金を持っていそうな家を忘れずに描き、後でそこに買ってもう話を聞きました。
絵描きがそういう小賢しい考えをすることにはあまり好感が持てず釈然としません、理想を言えば絵とはそんな考えではなくもっと自己の表現の場であってその考えは芸術家ではなくただの商売人じゃないか、と僕は思って聞いていましたが現実食べて行くにはそうするしか選択肢はない、理想だけでは食べていけませんし。
話を戻しますと、海外のホテルの絵は、パッと見た目には巧妙にそれ風にしっかり描かれていてちょっとした現代美術作品のような空気を醸し出し小洒落ています、それに対し日本でよく見る悪趣味の作品は始めから小洒落てなんかいませんし、どう転んでも現代美術には見えないバタ臭いものが多い。
ホテルの絵はよく見ると、、、気持ちが入っていないことを感じます、1枚1枚に愛着とか拘りを感じません、適当に手抜きしながら次々に量産してるのがなんとなく想像できます。つまりやや洗練されたフェイクとでも言えば良いのでしょうか?
それはつまり始めから作品ではなく、どこかで見た絵から著作権に引っかからない程度にコピーして量産して描いているのかも知れません、それは始めからそういう意図で作られています、作家はそれを何枚も何枚も量産して契約画商にまとめて引き取ってもらっている、そんなやり取りまで薄々浮かんできます。
僕の考えは、古くさいかも知れませんが、やはり絵とは神聖なものであるべきという考えです、作家の価値観とか生き方とか芸術家の視線が感じられるもの、突き抜けた気持ち、晴れ晴れした気持ち、広がる夢、作家の苦しみや葛藤までも伝わってくる、現実世界からどこか違う世界に連れて行ってくれる力を持った物であるべき、見えない世界を見せてくれるもの、それを表現したい意欲が描かれているもの、それが作品だとこれまで思ってきました。
ホテルでそれらの絵を見た時、そういう気持ちはまったくないただ空白の壁を埋めたものでしかない作品に感じました、そこで感じた気持ちを帰国後にブログに書こうと絵を写真に撮ろうと思いましたが、やはり思いとどまりました、人の人生を写真に撮ってまで見世物にする行為、自分はそこまでなりたくないと思い踏みとどまりました。
ただここで書きたいのは作品を貶したいんではなく海外ではそういう絵でもきちんと居場所と役割文化があることを感じました、逆にこれは日本にはない文化なんでしょうか、日本は壁に絵を掛ける習慣がないのではなく「とりあえず絵でも掛けておこう」この感覚が欧米に比べて無いのかも知れません、逆に彼らは空白な場所は質の良し悪しとは別に絵でもかけて埋めておきたい考えなんだなと思いました。

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