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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

鎌倉の浜に転がる石とカリフォルニアのワイナリーの繋がり 

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鎌倉の稲村の浜や七里ガ浜に散歩に行けば、浜にゴロゴロと転がっているこの石、どうしてこんなおかしな穴ぼこだらけの石が転がっているのかずーっと不思議だった。
ぱっと見た感じは京都のお寺にありそうな石だな、、、と思いつつ浜に行けば、いくらでも転がっているからあまりたいして気にもしなかった。とは言え、浜で見る度に、どうしてこんな風に無数の穴ができたんだろうか?やはり気になる石だと思っていた。
15年くらい前、稲村ガ崎の浜の前の高台に別荘物件を買った、家は頻繁に使われておらず野放し状態だったから買ったら即、家の手入れ、修繕、荒れ放題の雑草、竹、植栽の整理をチェーンソーで手入れを始めた、とにかく始めは一階から海などまったく見えない荒れ放題の物件を一個一個手を入れて自分たちの好みの家に作り変えて行った。
荒れた斜面の竹の伐採整理が終わったら、次は外階段の荒れ果てた竹垣を撤去しそこは石垣に作り直すことにした、石素材を選んだ理由は、竹よりも遥かに耐久力がありそうだし以前カリフォルニアのワイナリーで出会った体験から一度は石作りで何かをしたかったから。

以前、カリフォルニアワイン畑一面に咲く菜の花を撮って回る仕事をもらった、葡萄畑に菜の花の意味は菜の花があれば虫は葡萄苗には付かず菜の花に集まるそうだ、虫は栄養を取り終わって腹がいっぱいになるとどこかに行ってしまう、役目が終わった菜の花はそこで刈り取られそのままにしておけばそれが葡萄苗の肥料になる、農薬は使わず肥料にもなるという一石二鳥のすぐれた話、それをカバークラップと呼び、春になればカリフォルニアのワイン畑は黄色一色になりそれはカリフォルニアワイン畑の風物詩だと聞いた。
でももらった仕事はすべてを一人でしなくてはならない、不慣れな異国で車を運転して、きれいな黄色い葡萄畑を自分で探し、当然いい写真を撮らなくてはならい、あらゆるやり取りだって英語で自分でしなくてはならない、これは結構大変な仕事だったけど、わりと時間には拘束されず自由で気ままにゆったりと北カリフォルニアを旅が出来たからまあ楽しい仕事だったかな、、、と今は思う。
ここだ!と言えるほどのきれいな菜の花風景を探して車であちこち走り回っていた時、ふとあるワイナリーに目が止まった、そこで庭作り作業をやっている光景を目撃し何か気になって見学させてもらった、一人だからできることでこれがもしチーム仕事なら自分勝手な中断は当然できない。
カリフォルニアのワイナリーが集まるソノマ、ナパ地区はサンフランシスコから車で1時間くらい、ワイナリー巡りのバスツアーがいくつかあってそれぞれのワイナリーはツアー客にその場でワインを販売しているからどこもおしゃれな庭作りしている。
庭作りしていた男は20代の気の良いヤツだった、ピックアップトラックに無造作に積まれた直径20〜30センチくらいの石を一輪車に積んでこっちに運んで並べて散歩道を作っている最中だった、作業を見たところ、、、どう見ても本職には見えなかった、彼はあれこれ考えながら楽しんで作業をしていた。
石を一個、積んで、立ち止まってじーっと眺めて、、、何か考て、、、また石を並べて、、、また考えて、、いや違うな、、、ひとりごとをぶつぶつ言いながら、、、This stone should be here,,,,,,,and this one could be there,,,,,,and this is not here,,,,this stone also should be here,,,,,,
カタチの違う石、サイズの違う石を並べ直したり、時々ハンマーで叩いて割ってサイズを変えたり、どう積んだら崩れないか、セメントはどう使うか、彼なりに試行錯誤が伝わってこっちも一緒に考えてしまうくらいの作業だった。テキパキ急ぐ作業ではないのはすぐわかった。
彼に話しかけると作業を中断して手を休めて気さくに話し相手になってくれた、彼はワイナリーの従業員で庭作りもヒマな時の重要な仕事だと説明してくれた、僕らはそこで多分1時間くらいおしゃべりをした、彼の話は、こんな感じに石を並べ積んで、この石はこんな風にセメントを使ってこう並べる、、、と話してくれた、僕はトラックに積まれた石を指し「あの石はどこから調達するのか?」と聞くと、車で10分くらい行った山の崖から拾って来る、崖に行けばゴロゴロ転がっているから好き勝手に拾えるんだと話した、近場で石をタダで拾い集めて、それで庭作りをするって羨ましい良い話だな、、、、と思って聞いていた。
その話が僕にとって心に残った、僕もそれに習っていつかはそんなことがしたいと思っていた、「そんなものは浜とか裏の崖から拾って作るんだよ、、、、」いつかは言ってみたいことばだった、今の日本はそういうことはあまりしない風潮になった、昔はそうでもなかったけど今はなんだって買ったモノで片付け自分たちは何もしなくなった、石積みは当然しないし壁のペンキ塗りもしない、家作りを自分で考えないし自分の手でしない、だからつまらない家が多い。

さてわが家の石垣に話を戻そう、カリフォルニアの体験はいつかしたいとずーっと心の中で思っていた、石垣の素材の大半は裏の崖下に散らばっている石で賄ったけど同じ石だけで作ってもつまらない、アクセントに浜から穴ぼこの石を入れて作った、少なくとも2〜30個はいる、浜から石を30個くらい持ち帰るのは結構しんどい、でも探す苦労はまったくない、いくらでも拾える、ただ重い石を30個も持って階段を上るほうがよほど苦行だ。
ついでに言うと、浜で拾って来た石は塩分が残っていて一度、水で洗い流さないとセメントにはよろしくないと聞いたから、雨ざらしにしたり、ホースで丁寧に水をかけたり少しは手間はかかっている。頻繁に浜に行ってカタチのいい石を物色していた、どうせ重い石を持ち帰るなら少しでも気に入った石がいい、浜であれこれ探して、やっと穴の秘密が解けた、なるほどそういうことだったのか。
つまり石に海藻が根を張った姿を見てこの穴の秘密がやっと分かった、穴の原因は海藻の根っ子が石に根を張って穴ができた、、、海藻の根が穴を作っていた、時には硬い石ですら穴を開けてしまうから凄まじい力を持っている。
この穴の石は石ではなく粘土が固まった石に近い土です、鎌倉の海の底は岩ではなく粘土質です、その粘土に海藻がへばり付き海藻は根を張ります、そして海が激しく荒れ、海藻は波に揺られ続けパカッと剥がれ、石は海底でコロコロ転がり続けるうちに、角が取れて丸い石になって海藻は腐って石だけ残ってこうなった。
それがある日、浜に打ち上げられた、そして僕らが「これは一体なんだろうか?」これが筋書きです。

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