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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

要するに自分の心の心象風景の扉が開けばものは見えてくる 

昨日の話しは上手く書き切れていないので少し手を入れたり書き直します。
僕たちクリエーティブの世界で生計を立てている人の多くは十代のころ表現に何らかの夢を感じ、若いころそれに時間とエネルギーを使い夢中になって、それを心の支えにして大人になることの嫌悪感を振り払いながらなんとか頑張って大人になったわけです。
村上春樹氏は思春期のころは変わったやや引きこもりな少年だったらしく、体育会系の人と関わって何かをするよりも、自分の世界に引きこもって本の世界に貪りつくように物語に没頭して思春期を消費していたようです、神戸育ちの彼は海外の船乗りが古本屋にどっさり処分して行った小説を英語原文で読むことを高校生のころから始めていたらしく、そういう思春期の経験って、その後の人生に大きな基盤であって大変な原動力なります。
今こうして僕は表現する仕事に従事し、僕も気がつけばそろそろ晩年を迎える時期になりその軌跡を振り返り自分にとって写真って一体なんだったんだろう?ってもう一度考え直してみるといろんな思いに駆られます、そして言えることは今している仕事は大きく分けて二つの仕事に分かれます。
広告の仕事はやはり企業を広告するものであって自分自身の作品ではない、もちろん完全に双方、二分割できるわけではない、中には重なる部分もあって分別はできない、広告ノウハウや感覚が個人作品に使えることもあるし、広告表現に個人作品のノウハウがそのまま使える事もある、僕の場合はわりと自分の表現スタイルを活かさせてもらえるけど広告はあくまでもコンセプト主体なので個人作品とはやはり根本的に違う。

昨日書いた話で僕が最初に助手に就いたカメラマン事務所では壁面いっぱいの書庫に相当数の作品集や写真集が隙間なくぎっしりコレクションされていた話を書いた、まだ名古屋から上京したばかりでクリエーティブにすごく憧れていた駆け出しにはそれは途方もなくカッコ良かったし、優秀なクリエーターとはそう言うものだと思っていたけど自分が独り立ちして、自分の個性、自分のスタンスや考えも出来てくると、それは果たしてどうかと懐疑的目線で見るようになった。
そんなにたくさんの本をコレクションするって一見カッコよく聞こるが、それが本当に役に立っているのか冷ややかに醒めた目で僕は見る、それらは所詮はただの情報でしかなく情報がそんな期待するほど表現活動に役に立つだろうか、僕ならそれらは荷物になるばかりで役に立たないことの方が圧倒的に多い、広告カメラマンは、オリジナル性よりも、浅かろうがいろんな引き出しを持っていた方が仕事になるし役に立つ、またその方が受け入れられやすい業界だから、それは理解できるし無知な人にとってはカッコよく映る。
まったく何も知らないのもちょっと困るけど、クリエーターだからと言っていろんな作家や作品内容を知っておく必要なんかない、自分は自分だし人は人だと思う、自分が特に好きな作家だけ知っていればそれで良いんじゃないかと思う、僕はいろんなものを収集したり、たくさん抱えるのは好きじゃないから、不要な写真集が自分の書庫に居座るのは好きじゃない、とにかく狭い書庫には必要以上の本は置けないし不要になった本はさっさとヤフオクに出すか、誰かに譲るか、処分する。また読みたくなったらまた買えばいいくらいに思ってる。

それより個人作品を作る最大の原動力とは、思春期時代に夢中になったことを掘り出すに尽きると思うし大きなヒントがある、例えば十代にハマっていた音楽、大人になって久々に封印を解いて聞くと、あの当時、夢中になった気分に一瞬にタイムスリップさせる力がある、こういう影響力って中途半端な作品集をコレクションするより心の奥のまたその奥の深い部分の心を揺さぶり動かす不思議な力がある。
自己作品を写真で表現することって、とどのつまりは失った時間とその思い、失った夢、失った記憶を揺さぶり喚起させるものなんだなって最近痛感する、新機種カメラやライカがそれを撮ってくれるのではない、そういう心の奥の奥に埋れた、言わば埃をかぶった化石化した記憶のエネルギーを引き出す表現行為は、誰かの作品から刺激を受けるのではなく、(もちろんメチャクチャ刺激を受けるものだって当然あるけど)もっと別次元の引き出し方を自分自身の心の心象風景とその扉を開くカギのありかを知っておく必要があると思う。
つまり自分の心象風景の扉はどのカギを使えば開くのか、そこを熟知していれば、壁いっぱい書庫なんか要らなくなるし、そんなものはただの荷物でしかなくただの邪魔モノに見えてくる。昨日書きかけたあるデザイナーにとっての思春期はこの時代のNYのデザインシーンだったんだなってFBを見ていたらひしひしと感じて、こんな文章を書きたくなったに至ったわけです。

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