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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

下積み時代の僕のこだわりとその想い出の回想2(有田泰而さんについて) 

今日は有田泰而さんについて書きたいと思います、この方にもし出会えていなかったら僕はその後どうなっていたのか?ってやっぱり思います、人生には何人かそういう人がいますがこの方はその一人なのは間違いと思います、ただ残念ながら僕と有田さんは助手時代は良い関係ではありませんでした、それについてはまた日を改めて後日書きます。
でも有田さんから大きな影響を受けたのは間違いないし、有田さんは日本の広告界に大きな足跡と影響を残した方だと思います、最近ブログに間が開いたのは有田さんについてどう書くべきかずーっと考えていたらこんなに時間がかかってしまった。

さて、助手時代、まだカメラマンになる前、現実の軋轢に葛藤してたころ、、、カメラマンになりたいのははっきりしていたけど、そこに立ちはだかる最大の壁は、本当にカメラマンになれるか、なれないか、だった、巷の話によればカメラマンに無事になれるのは至難な技で、写真学校卒でカメラマンになれるのは何十人に一人いるか、いないか、、、だ、と聞ていた、僕がいた名門スタジオでも、カメラマンになれるヤツはその中で一人出るか、出ないか、と聞いていた。
確率的数字ではそうかも知れないけど、その手の数字はあまり真に受ける気がしなかった、そんな話なんてロクな事がないし、所詮数字でしかない、そんなの信じたところで何のプラスにもならないし、そんな数字より自分の直感を信じたいと思い始めていたころで、この手の話は信じれば信じるほど自分を見失なうのが関の山だ。
要するに僕は確率的には勝ち目のない勝負に出たけど、30人に1人しか椅子は用意されていないって言ったって30人みんな優秀とは限らないし、そんな基準より自分の目で冷静に周りを見渡せば、なれそうなヤツ、なれそうにないヤツなんて見れば分かる気がした、、、、なるヤツは条件がどうであれなるし、なれないヤツはやっぱりなれないし、そこはわりとハッキリしてた、要はそいつのやる気、志次第だと思う。
僕の助手時代は自分がそこで何を学んで、どうやって成長するのか考えなくてはならない、それと同時に自分はカメラマンになれるのかの不安との葛藤の中にでやるべきことを見出さなくてはならない、カメラマンになれなかった多くの仲間たちがなれなかった主な原因は、能力不足だったとは思わない、不安の重圧に写真に集中できなかったからじゃないだろうか?と思う。
その点では僕は自分に能力があったとは思わない、むしろみんなから広告カメラマンは向かないと思われていた、でも自分がしたいことに多分誰よりも執着してたし、みんなより歳を取っていた分だけ、自分にできること、できないことの分別はもう分かっていたから、自分の弱点も心得ていたし、何が何でもなってやる、その集中力はみんなより絶対あった。
多分僕は助手時代に自分を最も鍛えたことは、自分の感覚を深く信頼すること、それを一番大事にする生き方をこの時期に痛みを通して体で覚えた、逆にこの感覚を鍛えないまま大人になったら、僕ならゾッとする、この感覚は何か大事な挑戦の時、決断しなきゃならない時、一番助けになるのは自分の感覚だと思うし、所詮、人の言うこと、世の中の常識なんて肝心な場面では役には立たないことが多いと僕は思っている、この感覚を生まれながら持っているヤツもいるかも知れないが、僕は助手時代に学んだ、それが人生で最も重要な時期だった、そして有田さんに出会えたことも感覚育成に重要なカギだったと思っている。
この時期にほぼ確信したのは、才能がある、能力があるというのは、始めから完成度の高い表現ができることではなく、逆境であっても自分の目標にブレずに集中出来ること、謎を一つ一つ解いて自分の物に出来ること、集中できる環境を作れる能力が生まれながらにしてあること、これが才能なんだと思った。

前置きがすごく長くなったけど、そんな紆余曲折の真っ只中、僕は有田泰而さんの助手についた、名古屋でいろんなカメラマンの門を叩いたけどどこも上手く行かなかった、それに比べたら上出来というか、よくこんな場にたどり着けたと思う。写真学校にも行っていなかった、助手に27歳なんて遅すぎるって散々みんなから言われたけど、そんなのもうどうでもいい話に思えた。
僕は有田さんのところじゃないと見られないことは二つあった、そこはハッキリしていた、一つはトップクラスの広告制作の現場にアシスタントであろうが、どうしても立ち会いたかったこと、もう一つが、今日これから書きたい話題です。
カメラマンになりたいと志した当初はまだ自分はどう言う方向に行くべきなのか、そのため自分は何を学ぶなのか、そこがまだ曖昧な状態だった、でも時間とともに的が絞れ考えは整理されて行った、そこで痛感したのは広告カメラマンには大きく分けて二つのタイプがあると思った。
もちろんキレイに右と左に分別できないけど、物体ではなく感覚が写せるカメラマンとそれが写せない物体を撮ることしか視野にないカメラマンがいた、それが出来ない、それを憧れるだけのカメラマンがほとんどだった、有田さんはそれが出来た、しかもその完成度がとても高かった、それを広告に自由に表現できたカメラマンだった、それは数少ない貴重な存在だったし、そこに助手につけたのはラッキーだったと思った。
広告の実態とはどんなものか話すと、、、、広告とは何を言ったところとどのつまりは芸術活動ではない、商品の宣伝であって商品を告知して販売促進するのが広告の目的です、もちろん広告とは言え、商品に夢を描かなくてはならないから広告だって夢を描く能力を必要だけど、現実問題、そこは難しいところです、決められた範囲で広告を作るとは、予定通り、計画通りに予算内に作らなくてはならない、スポンサーさんみんながそこをよく理解しているわけではない、現実問題、その範囲で夢を描くことはとても難しい。
早い話が、仮にそう言う夢を描く能力を必要とされる広告の仕事はあるにはある、でも星の数の広告の中で、そんな広告が一体どれだけあるのか?仮にあったとしてそれに出会えるか?出会う確率はカメラマンになるよりも厳しいのは間違いない、早い話がそれだけでは食べて行けないから広告カメラマンになるとは現実的なカメラマンになるしかない、それが一般の考え方だ、でも僕は少なくとも先に書いた通りそんな確率なんんてアタマから信じない、なりたいヤツがなると信じている。
話を戻そう、有田さんはそんな数少ない広告ができるカメラマンだった、有田さんがそんな広告を撮ると映像はリッチで優雅な空気、時間が一瞬止まったような映像になった、つまり時間を止められるカメラマンだった、でも仮にマジックが使えないカメラマンが同じ広告を撮ったら、映像はどうなっちゃうかはだいたい上がりは想像がつくと思う。
具体的にそこにどんな違いがあって、どんな差が出るのか、、、、、僕は有田さんの助手になってそこが一番見たかった事だった、そういうのはスキルじゃない、カメラマンの世界観の問題なのはもう分かっていた。
CMロケ(動画)にアメリカに行った時、こんな事があった、撮影予定はトータルで5日間だったけど、あまり予定通りとは言えず、スムーズじゃなかった、助手の僕が見ても、何か大事なことが欠けたようなロケだった、有田さんは少しピリピリしていた、でも予定通り撮影を進めなくてはならなかった時のこと、有田さんは予定を中断して他ごとに意識を向けた、 、、、当初の予定を変えて夕方の光を選んで別カットを撮ることにこだわった。
監督はその考え行動をあまり良くは受け取ってくれなかった、でも結果的に有田さんの考えで撮影が進んだ、、、有田さんはある時間の光にこだわって撮った、当初はそれがどうなるのか先が見えなかった、でも有田さんはそれを強く推してそうなった。撮影終了して編集して、そのカットが存在を増してそのCMの印象がガラッと変わった。
もし決められた予定で撮るカメラマンにそんな選択はできただろうか、、、、、?
もしあの場で有田さんの選択がもし裏目に出たら、その後の予定を狂わしていたら、有田さんはスポンサーや監督からどう評価されただろうか?でも有田さんはそれが出来た人だった。

またこんなこともあった、ある出版社の仕事だった、ロケではなく日本でメキシコを表現するテーマだった、日本でメキシコを撮るって、どうやって撮るのかすごく疑問だったけど、有田さんはそれを迷うことなくあっさり撮ってしまった、僕は上がったモノを見てあっけに取られた、その時、カメラマンの能力を目の当たりにした。
有田さんが海外に行ったついでに拾い集めたガラクタ類を紙の上に並べだけの写真だった、ひん曲がった錆びたクギ、バスか電車の古びたチケット、錆びたビールのフタ、サンゴのカケラ、乾いた小枝、浜で拾ったビーチグラス、貝殻、そんなガラクタコレクションを有田さんは持っていた、それらが紙の上にばら撒かれ、黄昏の光でアンバーフィルターで撮っただけだったけど、不思議とそこは日本じゃない空気が漂っていた。
こんなことができるカメラマンはそうやたらいるものじゃないし、僕はそれ以来それができるカメラマンになろうと心に誓った、この人の心のフィルターを通すとそんな世界になっちゃうのが不思議だった、でも普通の広告カメラマンが同じものを撮ってもそうはならない、、、その違いは何がそうさせるのか?それが能力なんだと思った、カメラマンの心の中にある世界観がそれを写させるんだと思った。

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