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アトリエ水平線より

渡会審二の写真日記

ネット時代の人間社会 

昔、ネットが登場してまだ日も浅かったころ、アメリカで起きた企業と消費者の間にあったある事件を何かで読んだ、その内容にとても感動したことをよく覚えているのでここで遠い記憶を思い出して紹介します。

アメリカのある主婦が育児用の粉ミルクに対して何らかの不具合を製造会社に突きつけた、しかし会社側はそのクレームに対しまったく耳を貸す態度はなく主婦の訴えをあっさり門前払いするばかりで相手にしなかった、ネットがまだない時代にこんなクレームがあったとしても、それを通すのはカンタンな話ではない、新聞社とかマスコミを説得し味方につけるとかしないと一般人が大企業を相手にケンカを仕掛けても到底、勝ち目はない。
主婦は企業の態度に対して強い憤りを感じ、当時、流行り始めたネットを上手く利用し消費者にとってこの企業態度は如何に理不尽なことかを世の中に広く知らしめようとサイトを立ち上げた、するとその主張は瞬く間に広がって反響がたくさん返ってきた、私も同じ憤りを感じていたが訴えようがないと諦めていた、製造元に私もクレームを付けたが相手にはしてくれないし困り果てていた、と賛同の声が次々に上がった。
その広がり方は製造元の予想をはるかに超えたものとなって、最後は裁判訴訟まで行ったのか、製造元との間で和解が成立したかまでは覚えていないが、消費者側は勝利を勝ち取った、それはネットが見知らぬもの同士に新しいスタイルのコミニュケーションを仲介し、今までにない新らしい民主主義のあり方を可能にさせた、そんな内容の記事を読んで僕はすごく感心したことを覚えている。
多分それを読んだのは今から30年くらい前の話で、まだインターネットすら知らない人がたくさんいた時代の話だったと思う、だからこれから流行るインターネットに対して、とてつもない新時代の可能性を感じていた、しかし同時に今までの概念とか習慣では考えられないようなネガティブな出来事も同時に頻繁に起きるんだろうな、、、、ってイヤな予感も薄々感じていた。

数年前に起きた、東京オリンピックのマークを一般公募でアートディレクターの佐野研二郎氏が選ばれた、しかし海外のデザイナーからこれは私の作品の盗作だとクレームがついて世の中は大騒動になった事件はみんなの記憶にはまだ残ってる事件のはず。
もともと僕は佐野氏とはかつて仕事をいくつか一緒にさせてもらった関係だから事件の成り行きを注意深く見守っていた、でも佐野氏には悪いが彼の行いとその気性を知っていたからいつかは何か地雷を踏みそうな危なげさを感じていた。でも彼の名誉のために言えば、危なげと同時にそこらにはいない高いモチベーション能力を持っていたのも間違いなく感じていた。
その事件についての僕個人的なコメントは何もない、オリンピックのマークが盗作かどうかは僕には分からないし、それに関しては何の意見はなかったが、言えることはサントリーの仕事でも盗作が発覚した、これはもう逃げようのない致命的な失敗だなと思った。これが事実ならば例え彼のスタッフがやったにせよそんなの理由にはならない。
でも、その事件から僕が感じたのは、デザイン盗作疑惑に関しては何とも思っていなかったけど、びっくりしたのはそこではなく、世の中がみんなで一斉に佐野氏を非難しあれだけの事件にまで広がったこと、集団リンチ同然のイジメを彼に浴びせたこと、そのイジメぶり尋常じゃなく、彼とは何の面識もないヤツらまでイジメる側に立っていた、何もアンタらがここまで叩くこともないだろうと呆気にとられ、ちょっと恐ろしさを感じつつその事件を見ていた。
これを何と言えばいいのか、、、、上手い言葉が浮かばないが、明らかに人間が陰湿になったような、、、どこかでかつてはここまでやっただろうか?と常軌を踏み外した人間社会なった出来事だと思った。今の日本人は、僕が知るかつての日本人ではもうなくなったと思った。
これについて藤原新也さんに語ってもらったら、多分示唆にとんだ興味深いことをたくさん語りそうな気がするが、やはりスマフォの登場がその辺について拍車をかけているように思えて仕方がない。
朝のNHKのBS放送を見てると、最近あの大ヒット番組「おしん」を今やっている、それが流行っていた時は全く見ていなかったので、どうしてそんなにヒットしたのか、その訳すらわからなかったけど、今見るととてもしみじみと見る気になれない、時代錯誤な番組に感じたり、時代遅れなネチネチした情念世界がクドクドと描かれている。時々松本清張原作のドラマも今風に変えて番組を放送しているのを見るけど、松本清張の描く世界観の根底も似たようなもので今の時代から見ればどこかピントが合っていない。
明らかに言えるのは、今と昔のズレとは、今はかつてに比べれば人と人の心の距離がかつてとは離れたことを感じる、関わりが薄くなった、素っ気なくなった、以前はもっと人と人の間は密に接していた、当然そこに生まれる人間関係のネチッこさとか、憎悪の感情も濃厚で、それが当時のドラマの根底だったけど、今時そんなドラマは視聴者の心に響かない。

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